地域電力の形

分散電源システムの一つの具現形態として、中小規模の電源が存在する様々な地域においてエネルギー(電力・熱)の地産地消をはかる検討が行われています。欧米には、こういった先進事例が存在しています。米国では自治体が公共事業として電力販売もおこなっています。またドイツではシュッタットベルケという900を越える地域のエネルギー会社があります。電力自由化の一定時間を経過後に様々な事業者が消滅しいくつかの大手の電力会社へ淘汰が進んだ今でも、地域で電力と熱を供給する公共体として存在し続けています。これをお手本にしながら、様々な課題を克服していくことで、日本でも、地域の主体性を保ちながら、地域での資金還流や雇用創出などといった効果を生み出していく地域エネルギー事業の実現する可能性を秘めています。

エネ庁では、これを推進すべく補助事業を推進する一方、電力システム改革の議論の中で効果的な制度改正が順次行われており。再生可能エネルギーの固定買い取り制度と相まって、地域電力が成立する可能性は拡大しつつあります。

【地域電力会社における供給力】

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第一に、地域に存在する水力・地熱・風力・太陽光などの再生可能エネルギーが必要です。これらが固定買い取り対象電源であれば一定の原価査定のコストで調達できる電力となり得ます。

第二に、例えば地域電源が太陽光であったなら夜間の電力供給は出来ません。この課題を解消するのが”常時バックアップ”であり、高圧の需要家の場合、その地域の一般電気事業者から需要の30%相当の供給を受けることが出来ます。しかし、これは将来取引市場からの調達に変わっていくものと考えられます。

第三に、変動する需要に対応する調整電源、さらに地域電源が故障した際のバックアップ。いわゆる同時同量を満たすための電源として、調整能力を保有する新電力の電源の活用が考えられます。

【地域電力会社における顧客獲得】

・電力事業は、需要と供給を常にバランスさせながら大きくしていくことが肝要です。一般的に電源余力を持たない地域電力ならなおさら重要なテーマになります。現在地域電力を検討されている事例では、例えば自治体管轄の施設への供給から始めるといったスモールスタートで電力事業の経験値を上げていくといった考え方をする事例もあります。事業が大きくなれば、地域電力間の連携なども生まれてくるのではないかと思います。